甲斐駒ケ岳、山梨県立美術館

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■ 甲斐駒ケ岳

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 甲斐駒ヶ岳(かいこまがたけ)は、南アルプス国立公園内の赤石山脈

 (南アルルプス)北端の山梨県北杜市と長野県伊那市にまたがる標高

 2,967mの山です。峻険な山容をもち、半ば独立峰のような姿勢で屹立

 する日本アルプス屈指の名峰で、日本百名山、新日本百名山、新・花

 の百名山、山梨百名山、日本百景に選定されています。

 「駒ヶ岳」の名を冠する独立した山は全国に18山ありますが、その中

 では一番高いのが甲斐駒ヶ岳であり、木曽駒ヶ岳が2,956mでこれに続

 きます。長野県側(特に甲斐駒ヶ岳と木曽駒ヶ岳に挟まれる伊那谷周

 辺)では、甲斐駒ヶ岳を東駒ヶ岳(ひがしこまがたけ)、木曽駒ヶ岳

 を西駒ヶ岳と呼んでいます。南アルプスの山々は、高い標高と大きな

 山容を持ってはいますが、全般になだらかな稜線を連ねており、鋭角

 的な姿をした山は多くない。しかも、仙丈ヶ岳など南アルプスの他の



 多くの山は、前山に阻まれて人里からは間近に見

 えないことが多い。これに対して、甲斐駒ケ岳は、

 山梨県側の山麓から一気に2,500mほどの標高差を

 もって立ち上がっており、中央本線沿線からもそ

 の全貌が望めます。

 さらに、水成岩の山が多い南アルプスの中で、例

 外的に火成岩である花崗岩から成るため、山肌が

 夏でも白く望まれることも、駒ヶ岳の個性を際立

 たせています。

 このため、甲斐駒ヶ岳は古くから多くの人々に名

 山として称えられ、詩歌に歌われてきました。

 作家の宇野浩二はこの山を「山の団十郎」と評し、

 江戸時代の僧侶海量は、「甲峡に連綿として丘壑

 (きゅうがく)重なる雲間に独り秀づ鉄驪(てつ

 り)の峰」とその姿を漢詩に歌っています。

 甲斐駒ヶ岳はまた、古くから信仰の対象ともなっ

 てきました。山梨県側の山麓の横手・竹宇両集落

 には駒ヶ岳神社が鎮座していて、そこから山頂に

 いたる黒戸尾根には現在も信仰にまつわる多くの

 石碑や石仏が残っています。

  甲斐駒ケ岳




■ 山梨県立美術館

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 「文化不毛の地」と評されていた山梨において、戦後は博物館構想

 など文化事業振興の気運が存在し、1975年(昭和50年)に3期目の

 当選を果たした田辺国男知事は、山梨県立県民文化ホールとともに

 かねてより懸案であった同美術館の設置事業に着手。翌1976年(昭

 和51年)には美術資料取得基金を設立し山梨県農事試験場跡地に美

 術館の建設を着工。田辺知事と初代館長千澤テイ治によりコレクシ

 ョンの中心をバルビゾン派の画家とする方針が定められ、置県100

 周年記念事業として19世紀のフランス画家ミレーの代表作「種まく

 人」の購入が山梨県議会で承認され、山梨県企業局が通商産業省か

 ら電気事業固定資産内の事業外固定資産として絵画購入が許可された。

 1977年(昭和52年)4月に飯田画廊の仲介でニューヨークのオーク

 ションにおいて『種まく人』と『夕暮れに羊を連れ帰る羊飼い』を

 落札した。その他に山梨放送社長野口英史の資金援助や山梨中央銀

 行からの資金寄付を受け、飯田画廊からミレー3作品を購入し、

 1978年(昭和53年)11月3日に開館した。

 ボストン美術館にあるもう一枚の「種まく人」『種まく人』、『落

 ち穂拾い、夏』をはじめとするミレーコレクションやバルビゾン派

 の画家の作品を収蔵し、「ミレーの美術館」として親しまれている。

 ミレーコレクションは油絵のほか、水彩画、素描、版画を含め41点

 を収蔵。その他にクールベ、ターナー、シャガール、ヴラマンクら

 の作品、山梨県出身の画家や山梨ゆかりの画家の作品なども数多く

 収蔵している。


 同公園内にはロダン、ヘンリー・ムーアらのヨーロ

 ッパ近代彫刻家の作品も設置されている。また、

 1988年(昭和63年)から2002年(平成12年)まで行

 われた「郷土作家シリーズ」をはじめ、山梨県出身

 の画家に関する多くの企画展が開催されているほか、

 一般展示室を貸し出して美術振興も行っている。

 開館前に、『種をまく人』を2億円で落札購入したこ

 とや、同基金以外に山梨県営発電所の売電収益か

 らの購入費支出などに対し山梨県議会で反対意見

 もあったが、一方で山梨の風土とミレー作品の調

 和が支持され、好意的に受け入れられている。

 1988年(昭和63年)には開館10周年記念事業とし

 て、ロイスダールの『ベントハイム城の見える風

 景』を購入した。

 2002年(平成14年)に萩原英雄コレクションの一括

 寄贈を受けて施設の増築工事が行われた。

 重要文化財の『紙本淡彩陶道明聴松図』や山梨県

 着色指定文化財の『絹本著色法然上人絵伝』、

 『絹本五代目大木喜右衛門夫婦像』、『木版丹絵

 武田二十四将図』などを収蔵していたが、2005年

 (平成17年)に山梨県笛吹市に山梨県立博物館が

 開館し、それに伴い担当学芸員の異動とともに大

 木コレクションなど江戸時代以前の美術資料は同

 博物館に移管された。

 また、同美術館は全国各地から多くの来館者が訪

 れることも特徴で、1983年度(昭和58年度)の年

 間入館者数は12万人にのぼり、2006年(平成18年)

 10月15日には総入館者数1000万人を達成した。





  山梨県立美術館

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